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レポート

第2回 NEW CONFERENCE
女性経営者等の活躍に向けた会議~女性社長が動かす東京の未来~

トークショー:企業価値とは何か
ワンステップ上をめざすパッションが、企業価値に

ESG投資に象徴されるように、従来の財務情報だけでなく、非財務情報など多様な角度から企業価値が評価される今。企業価値とは何なのか、どのようにすれば企業価値を高められるのか、経営者に必要なことは何か。起業家、老舗企業3代目の社長たちに、OECD東京センター所長のするどい質問で女性トップリーダーたちが経験と実感をベースで議論しました。

進行をつとめるOECD東京センター所長 村上由美子氏は、開口一番、「企業価値は何かという壮大なお題を頂きましたが、硬く考えず、心の中にあるものをみなさんに共有できればいい」と、本音トークを促します。

17歳で母親と会社を立ち上げ、PRの仕事を35年間続ける、株式会社サニーサイドアップの代表取締役社長 次原悦子氏。マネジメント事業や飲食業などにもビジネスの幅を広げ、2008年にはヘラクレス上場(現ジャスダック)、2018年12月には東証一部に指定替えし、現在は時価総額170億程に成長していますが、「企業の価値って何なのか、未だに私は迷走中(笑)」といいます。一方で、上場に舵を切った理由は、「社会的責任が出てきたなかで、会社を持続的に成長させて、信用力を得る一つの道だった」と振り返ります。そして結果として、しっかりとした組織ができ、「絶えず成績表が世の中に晒されるのでプレッシャーもジレンマはあるが、社員の生活が守れて、夢を叶える可能性が増えたことにはすごく意味があった」とコメント。

「ダイバーシティこそ、新しい企業価値」と明言するのは、佐々木かをり氏。2つの会社の起業経営者であり、毎年1000人が参加する「国際女性ビジネス会議」をプロデュースし、女性起業家・経営者をリードしている佐々木氏は、現在世界で初めて、組織のダイバーシティと企業価値を数値化する「ダイバーシティインデックス」にも取り組み始めたことを紹介。「3人寄れば文殊の知恵、これがダイバーシティの根幹。ダイバーシティは、多様な意見や視点が活かされ、だからこそより良い組織になり、そしてその企業が発展していくこと」。さらにESG投資にも触れて、「先進的に環境や人材やダイバーシティに取り組んでいる企業に世界の投資家が投資する時代になってきた。だからこそ、私たち女性経営者の経営はESG投資の点でも評価されるものが多い。ここから世の中が良い方向に動くのではないか」と示唆します。

祖父の時代から続く不動産事業を引き継ぎ、3代目経営者となった森トラスト株式会社代表取締役社長 伊達美和子氏は、「企業は公器」と捉え、不動産事業を通じて地域経済など社会のために役立つこと、環境とともに変化しつつ持続性をもつこと、戦略と戦術を実行すること。この3つを主な企業価値と考えて、「ファミリーから受け継いだものをこの先も発展させていこう」との心算で事業を展開。未上場企業は株価で評価されるわけではないのですが、「ビジョン、数値、目標を明確にし、わかりやすく提示していくことが大切」と強調します。

議論も終盤となり、話題はそれぞれが経営する会社で「これからやろうとしていること」へ。「社員幸福量日本一の会社にしたい。我々ならではのSDGsを!」と、次原氏。佐々木氏は、「一番はパッション。思いをもって愛をもって一生懸命仕事をする仲間づくりを」。伊達氏は「Globalism、Out of the box、Innovation」の3つをキーワードに、2027年を目標とする中長期ビジョンの達成に向けて、軸をぶらさずに進めていくと宣言。

最後に村上氏は、「3人のスピーカーそれぞれが感じていらっしゃるパッションは、一つの指標では測れない。でも、同じゴールに向かうパッションを共有することによって、様々な指標で見た時にも、一つステップが上がる。そんなことが皆さんに腹落ちして、今日の議論が少しでもヒントになれば」と、会場に呼びかけます。それに答えるような満場の喝采とともに、濃密なディスカッッションが終了しました。

伊達 美和子
森トラスト株式会社 代表取締役社長

慶應義塾大学大学院修了後、総合コンサルティング会社勤務を経て、1998年に森トラスト株式会社入社。2016年6月に当社代表取締役社長に就任。多数の都心部での大型不動産開発を統括する傍ら、ホテル&リゾート事業では、昨今のインバウンドブームに先がけて、コンラッド東京、シャングリ・ラホテル東京、翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都をはじめとしたインターナショナルラグジュアリーブランドの誘致をいち早く主導しており、2020年には東京エディション虎ノ門、JWマリオット・ホテル奈良を新たにオープンさせる。そのほか、『Create the Future』のコーポレートスローガンの下、イノベーション創出を目指して、スタートアップ企業への出資や海外投資なども精力的に推進させる。

次原 悦子
株式会社サニーサイドアップ
代表取締役社長

17歳で同社を創業。以来「たのしいさわぎをおこしたい」をスローガンに様々な企業のPRを手がけてきたほか、独自のPRノウハウを用いて中田英寿や北島康介といったトップアスリートをマネジメントし世に送り出した。近年では大晦日の渋谷カウントダウンといった大規模なプロジェクトを手掛けるほか、シドニー発のオールデイダイニング「bills」の運営など多岐に渡る事業を展開。日陰感はないが日陰の女。だからメディアに顔は出さないが、検索すると顔が出てくるのが悩み。2008年に新規上場後、2018年に東証一部銘柄指定を実現。二児の母。現在独身。

佐々木 かをり
株式会社イー・ウーマン 代表取締役社長
株式会社ユニカルインターナショナル 代表取締役社長

大学卒業後に通訳や翻訳を提供するコンサルティング会社ユニカルインターナショナルを、2000年に「ダイバーシティ視点でイノベーションを起こす」をミッションにイー・ウーマンを起業。日本初のダイバーシティを数値化する「ダイバーシティインデックス」を発案するなど、ダイバーシティをテーマに国内外で数多くの講演をしている。内閣府規制改革会議を始め、経済産業省、総務省、厚生労働省、法務省、文部科学省など政府各省の審議会等で委員をつとめている。2018年には世界銀行主催の女性起業家を応援する組織We-Fiの日本代表チャンピオンに任命、さらに世界の2000名の女性経営者が所属する世界女性経営者組織(WPO)の日本支部代表に就任するなど、女性起業家・経営者をリーディングしている。

村上 由美子
OECD東京センター所長

上智大学外国語学部卒、スタンフォード大学院修士課程(MA)、ハーバード大学院経営修士課程(MBA)修了。その後約20年にわたり主にニューヨークで投資銀行業務に就く。ゴールドマン・サックス及びクレディ・スイスのマネージング・ディレクターを経て、2013年にOECD東京センター所長に就任。OECDの日本およびアジア地域における活動の管理、責任者。政府、民間企業、研究機関及びメディアなどに対し、OECDの調査や研究、及び経済政策提言を行う。ビジネススクール入学前は国連開発計画や国連平和維持軍での職務経験も持つ。ハーバード・ビジネススクールの日本アドバイザリーボードメンバーを務めるほか、外務省、内閣府、経済産業省はじめ、政府の委員会で委員を歴任している。著書に「武器としての人口減社会」がある。

開催日時 令和元年11月30日(土)13:00~19:30
会場 品川プリンスホテル プリンスホール
東京都港区高輪4-10-30 品川プリンスホテル アネックスタワー5階
参加対象 企業・団体の代表者と経営層、個人事業主など(男女不問)
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