レポート
「新たな環境に対応し、ビジネスを成長させる経営戦略とは」と題したトークショーでは、激動のコロナ禍を乗り越えた3人の女性経営者たちが登壇。進行を務めるのは、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター招聘研究員の二宮朋子氏です。
最初に「当たり前や常識を疑う」をテーマに、二宮氏から株式会社HASUNAのFounder&CEOであり、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部で教授を務める白木夏子氏に質問。16年前の創業時、日本では「エシカル」という言葉すら知られていなかった時代に、エシカルジュエリーに注目した理由をうかがいました。
「学生時代に訪れた南インドで、鉱山労働の過酷な現実を目の当たりにしました。ジュエリーや化粧品、精密機器などで彩られた便利で豊かで美しい世界は、劣悪な環境で働く彼らの手で成り立っている。『なぜこんなことが』と衝撃を受けました」
この仕組みを変えるべく、エシカルジュエリーブランドを設立。「今では世界約10カ国の宝石鉱山労働者や職人と共に、人と社会と自然に配慮したもの作りを実践しています」
体験によって当たり前が変化するという意味では、コロナ禍は私たちにとって大きな転機となりました。株式会社EventHub代表取締役CEOの山本理恵氏が、イベント管理SaaS『EventHub』をリリースしたのは2019年7月のこと。その半年後にコロナ禍に直面します。
「リリース時はオフラインのイベント交流サービスでしたが、まさかの自粛要請。キャンセルが相次ぎ売上もほぼゼロ」と振り返る山本氏。そこからメンバーと話し合ってプロダクトをピボットし、わずか2週間でオンラインイベントに対応することで事業を大きく成長させました。「このスピードは規模の小ささが活きました。当時は10数名と規模が小さく、スタートアップライクな意思決定や働き方ができたことが大きいです」と語ります。
コロナ禍においては、店舗ビジネスも困難を極めました。美容室とネイルサロン、まつ毛エクステの店舗を全国展開する株式会社 Mahalo 代表取締役の松井裕香氏も当時を振り返ります。
「営業できないけれど人件費はかかるという状況で、毎日が綱渡りでした。その時に一番学んだことは、トップが何のためにどう考えて意思決定したのか、従業員にしつこいくらいに伝えることの大切さ。不安のなかで道しるべを示すことが大事でした」
山本氏も大きくうなずき、「『50人の壁』といわれるように、規模が大きくなると一人ひとりと向き合えず解釈のすれ違いが起こります。私は皆を集めてリーダーとして話すことに躊躇するタイプでしたが、経営者として必要なことだと感じています」
続いて二宮氏は、ミッション・ビジョン・バリューは掲げるだけでは意味はなく、従業員に伝え続けるべきものとした一方で、その他の経営者の役割を取捨選択しなくてはならない場面が出てくるとし、「年齢を重ねての体調の変化や、出産や子育てなど自身の変化も大きく影響するのでは?」とライフステージとのバランスの取り方を問います。
松井氏が率いる株式会社Mahaloは、幹部を含め全従業員が女性、かつ平均年齢26歳と若い組織です。「どのライフステージでも安心して働けるよう、1on1、シスター制度など、細かくてわかりやすいキャリアプランを提示しています」と、独自のリーダーシッププログラムを構築していると答えました。
昨年出産したばかりという山本氏は「IT業界は男性の経営者が多く、いざ出産育児休暇となった時に相談できる先輩の女性経営者があまりいませんでした」、続けて2児の母である白木氏も「私も周りは男性の経営者ばかり。数少ない女性経営者にたくさんアドバイスをもらい、近所のママ友とも助け合いながらなんとか乗り越えました」と、出産を機にロールモデルの意義をあらためて痛感したと話します。
変化が著しく予測が困難なVUCA(ブーカ)の時代にあって、女性経営者はどんな姿勢で臨めば良いのでしょうか。三者三様のメッセージが送られました。
白木氏からは「環境の変化は波のようで、この状況はずっと続くのでしょう。上がっても下がっても波乗りのように軽やかに、皆さんと一緒に乗り越えていきたいと思っています」と真っすぐなエールがありました。
松井氏は「女性が経営者として走っていると、逆風を感じる場面が多い」とした上で、「私は逆風のなかにこそポテンシャルがあると思っています。迷いやストレスがある時に自身のあり方を見直すことが、次のステージへの扉となるはずです」と、激動の数年を振り返って語ります。
スピーディーな意思決定でコロナ禍を乗り越えた山本氏は、「迷った時、環境が変わった時にこそ、お客さまの近くに行って原点に戻ることが大切。また、ライフステージの変化を相談できる人も必要です。今回のようなイベントは、そうした横のつながりをつくる貴重な機会です」と、アドバイスします。
軽やかさと力強さを兼ね備えた御三方のメッセージの後、二宮氏が「皆さん、『NEW CONFERENCE』の『N』は、ネットワークの『N』です。ぜひご活用ください」と結び、トークショーは終了しました。
ロンドン大学卒業後、国際機関や投資ファンドを経て、2009年に株式会社HASUNAを設立。ジュエリーブランドHASUNAでは、ペルー、パキスタン、ルワンダなど世界約10カ国の宝石鉱山労働者や職人と協力し、エシカルなジュエリー制作を実践。日本のジュエリーブランドとして初めてRJC(責任あるジュエリー協議会)国際認証を取得する。また、セレクトショップや化粧品、アパレルブランドのブランドディレクションに携わり、2021年からは武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の教授として起業家の育成と研究を行う。日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2011キャリアクリエイト部門受賞や、世界経済フォーラムのGlobal Shaperとしての参加、Forbes誌「未来を創る日本の女性10人」、CNNの「リーディング・ウーマン・ジャパン」選出など、数々の受賞歴がある。趣味は旅、アート鑑賞、料理。2児の母。音声配信メディアVoicyで「起業&ブランドゆる話」毎日配信中。
美容サロン経営・美容師・サロン向けコンサルティング・セミナー運営・オリジナルプロダクト製造開発・フェムケア事業 (株)Mahalo 昭和音楽大学から東京マックス美容専門学校卒。
音楽の道から夢だった美容師へ転身し、大手サロンで人気スタイリストとして成功。2009年に横浜でサロンを開業し、瞬く間に人気店へと成長させました。その後「REGALO」を始めとする多彩な美容事業を展開し、2021年にはオリジナルプロ ダクトを開発。さらに、2022年にはフェムケア事業を立ち上げ、女性の健康とエンパワーメントに尽力しています。現在、 関東・関西・九州に店舗を拡大中で、若い女性の活躍を支援。独自の内面教育・性教育と評価制度は高く評価され、 Forbes JAPAN WOMAN AWARDを3年連続で受賞。フェムテック事業「mycy」も展開し、女性の社会進出を支援する活 動に注力。東京都主催の女性経営者塾で講師を務めるなど、多くの女性起業家を導いています。
米ブラウン大学経済学部&国際関係学部を卒業後、新卒でマッキンゼー・アンド・カンパニー サンフランシスコ支社に入社。マッキンゼー退職後は宇宙ベンチャーの海外マーケティングやホテルブランドの立ち上げをフリーとして担当する。2016年に株式会社EventHubを設立、2019年にイベントマーケティングプラットフォームEventHubを提供開始。一般社団法人 日本CPO協会理事。
宮崎県出身。慶應義塾大学在籍中にキー局リポーターを務める。
卒業後は地元放送局のアナウンサー、全国紙の新聞社を経て、アパレルを中心に国内企業の女性活躍を推進。自身も出産後4ヶ月で早稲田大学院へ入学しMBAを取得。成績優秀者として表彰を受ける。
成長過程の組織におけるダイバーシティ/SDGsを重視し、民間企業や自治体、大学や研究機関に活動の場を広げながら、LGBTQ+の観点を加えたマネジメント研修や人事制度の構築を手がける。
ベトナム国立外国貿易大学 客員教授 日本ハラスメントリスク管理協会 講師ほか。
開催日時 | 2024年11月25日(月)13:00-18:10 |
---|---|
会場 | 【リアルイベント】 東京国際フォーラムB5・G502・G504・G505・G510(東京都千代田区丸の内3丁目5−1) 【ライブ配信(オンライン)】 ZoomとYouTubeによるライブ配信 |
対象 | 企業・団体の代表者、経営者層、個人事業主など(男女不問) |