レポート
「今回のテーマ『企業を代表することの責任とチャレンジ』ですが、実は私自身、責任を取らないといけないとか、重要なポストであるということを思い過ぎないようにしています」
2人目のスピーカーとして登場した清明祐子氏。マネックス証券社長、マネックスグループ取締役等を務める注目の女性リーダーが、意外にも軽やかな言葉で、その立場を語りはじめました。
「そういったことを考えると不安になりますし、失敗を恐れてしまう。保身に走って、チャレンジができなくなるんじゃないかと思っています」
自分自身に対して過度にプレッシャーをかけない。笑顔でそう語る清明氏。現在に至るまで、銀行やプライベート・エクイティ・ファンドを経て、2009年にマネックスグループのマネックス・ハンブレクト(2017年にマネックス証券と統合)に入社、その2年後、33歳で同社社長に就任しています。当時、累積で赤字を抱えていた会社を1年目で黒字化し、2019年4月にマネックス証券代表取締役社長に就任しました。
「責任を感じすぎるのはマイナスだと思う一方で、『覚悟』は必要かなと思っております。マネックス証券の社長を引き受けた際の私の覚悟は、カリスマ創業者から次世代へのサクセッションでした」
創業者である松本大氏から渡されたバトン。それを、「松本に頼るのではなく、私たち自身で100年企業を作っていきたい」という想いで受け取ったといいます。
「自分たちなりのやり方を追求し、社内のコミュニケーションもいろいろと変えまして、『3倍速でやっていこう。未来を待つんじゃなくて、自分たちで作っていこう』と伝えたところ、みんなに自立心が芽生えて、アウトプットも増えていったという形です」
そして話題は、ダイバーシティへ。マネックス証券の社長に就任した際、さまざまなメディアで「41歳女性社長」という表現をされたことを振り返ります。
「自分では全く意識していなかった部分を取り上げられたことで、世の中はまだまだ年齢や性別の壁があるのかもしれないなと、客観的に眺めていたことを今も覚えています。経営だけでなく、仕事全般的に、性別はひとつの個性であって、個の力で見るべきなんじゃないかなと本当に思っています」
では、リーダーがすべきことは何か。清明氏は、「ビジョンを示す。そこへ向かう中でさまざまなことを決める。最後に、みんな同じ方向に向かっているかということも含めて、コミュニケーションをしっかりと取る」という3つのポイントを挙げます。そして「このことに、性別は全く関係ない」と、言葉に力を込めます。
2020年からは、マネックスグループの代表権も待つ代表執行役に就任しました。
「責任は重いかもしれないですが、やっぱりチャレンジは捨てられないと思っています。だからゴールを決めています。みんなのマネックスを作っていく。これを責任とチャレンジとして、今後も頑張っていきたいと思います」
しなやかに挑戦していく、力強い清明氏の言葉。すがすがしい風が吹き抜けるようなスピーチでした。
2001年京都大学 経済学部卒業後、三和銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。2006年にMKSパートナーズ(プライベート・エクイティ・ファンド)の参画を経て、2009年2月にマネックス・ハンブレクト(2017年にマネックス証券と統合)に入社し、2011年に同社社長に就任。2019年4月よりマネックス証券代表取締役社長(現任)。2020年1月マネックスグループ代表執行役COO、2021年1月よりCFO兼務。2021年6 月よりマネックスグループ取締役 代表執行役COO兼CFO(現任)。
開催日時 | 2021年11月1日(月)13:15-18:30 |
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会場 | オンライン開催(ZoomとYouTubeによるライブ配信) |
参加対象 | 企業・団体の代表者、経営者層、個人事業主など(男女不問) |