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レポート

第5回 NEW CONFERENCE
女性経営者等の活躍に向けた会議 ~女性社長が動かす東京の未来~

分科会4:資金調達とキャッシュフロー
投資家、融資、助成金など、
すべては「信頼の積み上げ」が重要

経営者にとって重要な課題である資金調達とキャッシュフローについて、女性リーダーが語り合う分科会です。進行を務めるのは、株式会社iSGSインベストメントワークス取締役の佐藤真希子氏。2016年に独立系のベンチャーキャピタルである同社を国内初の女性代表パートナーとして立ち上げ、現在は86社に投資をしています。

女性をメインとしたBtoB営業アウトソーシング事業などを手掛ける株式会社Surpass 代表取締役社長の石原亮子氏は、「2008年、リーマンショックの年に起業しました。創業当初から『女性活躍』という言葉が日本からなくなる日を目指しています」と自己紹介。厳しい時代のなかで創業しながらも、現在は社員が175名、年商約9億に成長しています。

子どもへの学習支援や困窮子育て家庭への支援を行っている認定特定非営利活動法人キッズドアは、2009年にNPO法人格を取っています。「事業は成長し、活動の規模は大きくなっています。現在は従業員が100人を超え、3,000世帯弱ぐらいがご登録いただいています」と笑顔で語るのは、理事長を務める渡辺由美子氏です。

WAmazing株式会社は2016年創業、訪日旅行者向けの観光プラットフォームサービスを提供しています。代表取締役CEOの加藤史子氏は、コロナ禍の影響について「ようやく10月11日より個人旅行者のビザ解禁ということになり、今非常に忙しい状況です。今は社員が162名、全員フルリモートワークで働いています」と、長いトンネルを抜けた現状を語ります。

資金調達について早速、加藤氏が「OTA(Online Travel Agent)という事業は先行投資が必要。エクイティという株式を第三者に増資して資本を増やすやり方で、累計28億2,700万円、着金をしています」と具体的な数字を挙げてコメント。佐藤氏がその発言を受け、「外部からの資金調達は怖いと悩まれる方が多いなか、どのような気持ちで外部の投資家を入れたのでしょう?」と問いかけます。「事業規模から逆算して考えると、エクイティ調達しかないと。怖いか怖くないかで言ったら、めちゃくちゃ怖いという話ではあります」と、リアルな答えが返ってきました。

次に、佐藤氏が渡辺氏に問いかけます。
「NPO 法人になってくると、外部からの調達が難しいと思うんですが、どのようにここまで成長してこられたのでしょうか」
「お金をいただくとなると寄付しかないので、NPOにも投資の仕組みを作ってほしいという動きも、今はあるんですけれども」と背景を語る渡辺氏。そして、「最初は手弁当から始まって、公益活動に対する助成金にプロポーザルということで申請をしました。創業4年目くらいには行政からの受託が始まり、今は助成事業が6割ぐらい、残りの4割をいわゆる民間助成金と言われるものと寄付で運営しています」と解説します。

一方、石原氏は「実は13年目まで、外部の資金は入れたことがなかった」と語ります。
「早くに外部の資金を入れてしまうと自分の世界観が実現できないと思い、最初の5年は日本政策金融公庫や信用金庫などに借入れし、黒字の時にお金を借りて返すということで複数行と信頼を築きました。資金調達においては2年半前から、組織コンサルティングの株式会社識学さんに億単位で投資していただいたという形ですので、融資でほとんど9割来たという感じです」

その後、コロナ禍におけるキャッシュフローでは「月々の赤字額が億ぐらいになった」「入金までの期間が長く、POファイナンスを活用」「毎週末、助成金の申請書を書いていた」「とにかくコツコツと信頼を積む」などの体験談が飛び交います。加藤氏は、「自分の職場を失いたくないと、社員が出資してくれたんです」と、思わず涙ぐむシーンもありました。

様々なキーワードが飛び交い、tipsがあふれたセッション。最後に参加者へエールが送られます。加藤氏は「女性はやる気があるし、能力も高い。なので自己肯定感が低かったり自己効力感が低かったりすることがあっても、勇気を持って一歩踏み出してほしい」、渡辺氏は「自分は何をしたいのか、社会にどう貢献したいのか。儲けることと別の軸、想いの強さが大事」、石原氏は「今日から1歩でも、1本のメールでも踏み出して、ぜひアクションを起こしていただきたいと思います」と締めくくります。

第1回 N E W CONFERENCE に一参加者として来場していたという石原氏の「その時に上場すると決めた」という言葉に、佐藤氏が「このCONFERENCE で世界が変わっている女性起業家、本当に多いと思うんですよね。一歩踏み出すと付き合う人も変わり、見える世界がどんどん変化していく。そういう成長があるのが起業の醍醐味だと思います」とうなずきます。佐藤氏のテンポ良いリードで、具体的なノウハウと経営者たちの想い、一歩踏み出す勇気を得ることのできたひとときでした。

石原 亮子
株式会社Surpass
代表取締役社長

1979年、東京生まれ。20歳から大手生命保険会社でトップセールスとして活躍。一部上場企業からベンチャー企業まで100業種以上の営業実績を持つ。2008年8月株式会社Surpassを創業。女性営業の力を社会的意義のある事業に生かすことで、女性のエンパワーメント向上を目指す。LTV(永続的な信頼関係と売上の構築)を重視した女性による営業アウトソーシングのパイオニア。2021年、営業DXと女性育成ノウハウを活かし、徳島市やさぬき市とジェンダー格差改善を目指した連携協定を締結。「Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2017」企業部門第3位の受賞を始め、女性が活躍する企業として多くの賞を受賞。起業家機構「EO Tokyo」メンバーシップ理事、グローバル起業家ネットワーク「WAOJE」東京支部理事など起業家としても幅広く活動している。

渡辺 由美子
認定特定非営利活動法人キッズドア
理事長

千葉大学卒。大手百貨店、出版社を経て、フリーランスのマーケティングプランナーとして活躍。配偶者の転勤に伴い一年間イギリスに移住し、「社会全体で子どもを育てる」ことを体験する。2007年任意団体キッズドアを立ち上げ、2009年内閣府の認証を受けて特定非営利活動法人キッズドアを設立。子どもへの学習支援や居場所運営に加え、2020年より新型コロナ感染症の影響を受けた日本全国の困窮子育て家庭への支援を開始。日本の全ての子どもが夢と希望を持てる社会を目指し、活動を広げている。2016年第4回日経ソーシャルイニシアティブ大賞国内部門ファイナリストに選ばれる。2018年5月、初めての著書『子どもの貧困~未来へつなぐためにできること~』(水曜社)を上梓。内閣府 子供の貧困対策に関する有識者会議 構成員。厚生労働省 社会保障審議会・生活困窮者自立支援及び生活保護部会委員。一般社団法人全国子どもの貧困・教育支援団体協議会副代表理事。

加藤 史子
WAmazing株式会社
代表取締役CEO

慶應SFC卒業後、リクルートにてインターネットでの新規事業立上げに携わった後、観光産業と地域活性のR&D部門じゃらんリサーチセンターに異動。主席研究員として調査研究・事業開発に携わる。2016年7月、訪日外国人旅行者による消費を地方にも行き渡らせ、地域の活性化に資するプラットフォ-ムを立ち上げるべくWAmazing株式会社を創業。

佐藤 真希子
株式会社iSGSインベストメントワークス
取締役 代表パートナー

2000年 株式会社サイバーエージェント入社。インターネット広告事業の営業・マネージメント、子会社の新規事業立上げを経て、2006年より株式会社サイバーエージェント・キャピタルへ出向。国内のシード期のスタートアップベンチャー投資に9年間従事。2016年6月に独立系のベンチャーキャピタルである株式会社iSGSインベストメントワークスを国内初の女性代表パートナーとして立ち上げ、86社に投資をしている。IPO実績はインパクトホールディングスやビザスク、エクサウィザーズなど。
トーヨーカネツ株式会社社外取締役、経済産業省J-Startup推薦委員、東京都データ活用推進委員。

開催日時 2022年11月28日(月)13:00-18:30
会場 完全オンラインでの開催(ZoomとYouTubeによるライブ配信)
対象 企業・団体の代表者、経営者層、個人事業主など(男女不問)
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