レポート
1人目の登壇者は、モデルナ・ジャパン株式会社 代表取締役社長の鈴木蘭美氏です。「私なりに自分の人生を歩んできて、今、経営者という立場でどんなことを考えているか、どんなふうに育っていきたいかということを、あるがままに伝えさせていただきたいと思います」と、真摯な言葉からスピーチが始まりました。
栃木県で生まれ、小学校からは東京の祖父母の下で育った鈴木氏。15歳で日本を旅立ち、18年間、英国とスウェーデンに住むというグローバルな人生を歩みます。医学博士として乳がんの研究をしていた鈴木氏は、やがてエーザイ株式会社のロンドン支社に勤務。33歳で日本に帰国し、本社へ。その後、フェリングファーマ株式会社のCEOなどを経て、2021年11月8日にモデルナ・ジャパン株式会社代表取締役社長に就任しました。人生の歩みとともに、経営の心得は1700年代に活躍した佐藤一斉の「重職心得箇条」などの古典から学んだという、実践的な情報がシェアされます。
後半は、スライドとともに展開していきます。「ミッション」として掲げられた言葉は、「患者さんのために革新的な次世代の新薬を生み出し、mRNAサイエンスの約束を果たす」というものです。
「mRNAのサイエンスを最大化することによって、たくさんの命を守っていく。失われないで済む命をしっかりと助けていく。そういうことを我々は目指しています」
続いて、「12個のモデルナのマインドセット」が紹介されます。
「弊社がどうして、1年未満でコロナのワクチンを開発することができたのか、10年足らずのスタートアップ企業がこの規模に成長することができたのか、現在48本に及ぶ新薬のプログラムを持つところに至ったかという、過去を振り返って自分たちの考え方、振る舞いをまとめて将来も応用していこうと思っているものです」
そして、12個のマインドセットのうち、「We accept risk at the only path to impact.(大きなことを成し得るにはリスクを受け入れる)」などが取り上げられ、解説されました。また、組織のダイバーシティについては男女がほぼ半々で、女性活躍がしっかりと推進された環境であることがデータととともに示されました。
最後に語られたのは、長期的な展望です。
「弊社はコロナのワクチンに加えて、様々な新しいワクチンをこの世に出していこうとしています。」そして、全国民により適切なワクチンを行き渡らせるために「海外から輸入するよりも、国内で生産することができればより確かなものになると考えています。このような理由から、ぜひとも弊社の工場を日本で設立し、安定した高品質の安全なワクチンを提供できればと願っています」
そして、「オンラインでつながっている皆さんに、心からのエールとお礼を申し上げたいと思います」と締めくくった鈴木氏。会議のスタートにふさわしく、今まさに世界を動かそうとしているリアルな経験が語られた基調講演でした。
英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンにて医学博士号を取得、英国インペリアル・カレッジ・ロンドンでの博士研究員(ポストドク)の経験を経て、ロンドンでベンチャーキャピタル事業に従事。その後、エーザイ株式会社のコーポレートビジネスデベロップメント担当執行役を経て、2017年よりジョンソンエンドジョンソンの製薬部門であるヤンセンファーマ株式会社においてビジネスデベロップメント本部長及びメディカルアフェアーズ部門本部長を務めた。フェリングファーマ株式会社のCEO代表取締役を務めた後、2021年11月8日にモデルナ・ジャパン株式会社代表取締役社長に就任。
開催日時 | 2022年11月28日(月)13:00-18:30 |
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会場 | 完全オンラインでの開催(ZoomとYouTubeによるライブ配信) |
対象 | 企業・団体の代表者、経営者層、個人事業主など(男女不問) |