基調講演1

ウーマノミクスで動かす東京

ウーマノミクスという言葉をつくり、女性のビジネス参画が、どのような経済効果があるのかを長年研究し発表してきたキャシー・松井氏による、ウーマノミクスの効果と促進のための支援案など、データを活用しての講演。女性起業家や経営者の活躍を、グローバル社会はどのように支援してきているのかなど、金融・経済の視点から提案しました。

“通説”よりも、事実。
女性活躍は経済成長に必ずつながる

キャシー・松井

ゴールドマン・サックス証券株式会社 副会長

 キャシー・松井氏がウーマノミクスをテーマとしたきっかけ、調査をはじめた約20年前にさかのぼります。松井氏が証券業界に入った1990年1月、日経平均の水準はピークとなり、その後、暴落。厳しい状況に直面した日本の成長性を、海外、国内の投資家に向けてどう示すのか。松井氏は「潜在成長率をドライブする材料は3つしかない。それが、人材、資本、生産性」と語り、時間がかかる人材と資本より、まずは生産性に着目したといいます。
そして、自らが出産後に復職した際、周囲では復職する母親が少なかったという経験から、課題の糸口を見つけていきました。まず、日本の女性の就業率が男性並みの80%になった場合、GDPを約13%押し上げる効果があると分析。しかし投資家らのさまざまな反論に直面します。女性活躍やダイバーシティ、ESG(環境、社会、企業統治)という指標が企業のパフォーマンスに本当に結びつくのか、さらには、出生率がさらに下がるのではという疑問。

 これに対し、松井氏はさまざまな分析データを示して回答していきます。会場では、そのデータを同じように示し、詳しく解説。「ご覧の通り、女性役員なしの企業よりも、3人以上いる企業のほうが、ROEが約50%高くなっています」。さらにESGに基づいたファンドの規模が2500兆円にのぼっていること、なでしこ銘柄の企業の株価パフォーマンスが平均より高いこと、女性の就業率の高さが出生率の伸びにもつながる国内外の分析結果も提示。

「何が事実、何が通説なのか。まず企業と経済の成長率に、ダイバーシティが絶対に関係してくる。プラス、日本の場合は女性が活躍すると、潜在成長率も上がり出生率も上がるかもしれない。ですから、それを信じて進みたいと思います」
さらに、男性起業家は資金調達などを課題と捉えるのに対し、女性起業家は知識やノウハウを課題と考え、求めている支援は「経営者などとの交流」という経済産業省の調査結果も紹介し、「まさに今日のカンファレンス。ネットワーキングの機会をもっと増やせばいいと、私はこのデータから読み取れます」と力説。

 最後に今後検討すべき経営者への支援策として、「経営や業界の知識向上のためのトレーニング」「低金利融資、補助金制度、優遇税制措置」「ネットワーキングやメンター制度」「公共のサポート制度」「ワークライフバランス充実」という5つのカテゴリーを提言しました。
「この国の女性の起業家精神はものすごく高い。ですからその精神を活かせて、次の成長機会を見つけて実現できるインフラやシステム、制度をつくれば、絶対に個々の企業および東京と国全体のレベルの成長につながると確信を持っています」
豊富なデータが示された、この日最初の基調講演が、力強い言葉で締めくくられました。

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